買われた花嫁
 どうして私は、こんなにも彼のことで胸がいっぱいになっているのだろう?

「あんな態度を見ると、徹底的にご両親に反抗したくなるな」

「……なにを言ってるんですか?」

「もっと悪いことをしよう。ご両親には秘密で」

 蓮司さんの形のいい唇がゆっくりと笑みを作る。

 初めてこの人が笑ったところを見たかもしれない。

 でも、笑顔と呼ぶにはなんだか禍々しくて邪悪だ。悪い笑み、とはきっと今の彼が浮かべている表情を言う。

「悪いこと……って……」

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