買われた花嫁
「年齢の割に妙に諦観している。……今まで、諦めてきたことが多かったんだな」

 あんなに冷たく聞こえた声が不思議と優しく響いて、少しだけまぶたが熱くなった。

「俺の前ではすべて見せてくれ」

「どうしてですか? そのほうが……都合がいい?」

「穿った捉え方をするな。そうさせているのは俺なのかもしれないが」

 ふ、と蓮司さんが息をこぼした。

 それほど表情には出ていないけれど、今のは笑ったと考えて間違いなさそうだ。

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