世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
「君が感情を見せる瞬間は嫌いじゃない。映画館に行ったあの日からそう思っていた」

 再び胸がどきりと音を立てた。

 だけど今度は嫌な感じではない。それどころかむしろ、むずがゆくてもどかしい疼きが湧き上がってきて戸惑う。

「そう、なんですね」

 それだけ言うのが精いっぱいだった。



 石畳の街並みに、私の心許ない足音が響く。

 フランス、パリ。

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