世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 給仕がナイフを入れた直後、閉じ込められていた芳醇なトリュフの香りが、爆発するように広がり、嗅覚を麻痺させた。

 香水ブランドで働いている私は、〝いい香り〟に近しい。そんな私でさえ、これ以上に素晴らしい香りはないんじゃないかと錯覚するほどのかぐわしさだった。

 サクサクとした黄金色のパイ生地の中には、ごろんと存在感のある黒トリュフが隠れている。なぜ黒いダイヤモンドと称されているのか納得する存在感だ。

 でもそれに負けていないのが蓮司さんである。

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