世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 見上げると、蓮司さんは私ではなく、空になったカップを見つめていた。

「俺は、君という人間を『甘やかされた無能』という枠に当てはめて見ていた。九条家が属している上流階級の人々と同じく、俺のような人間を成り上がりと嘲笑するような。……だが、どうやら違うらしい」

「私の話を……信じてくれるんですか」

「嘘をついたのか?」

「違います!」

 反射的に答えてから、震える手をぎゅっと握り締めた。

「信じてもらえると思っていなかったんです。誰も……聞いてくれなかったから」

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