世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 だとしたら、その目的は果たされている。

「夜景っていいですね。これまでは楽しむ余裕もなかったから……」

 言いかけて、ふとスマホの画面を確認してしまう。

 デジタル数字が刻む無機質な並びは、いつの間にか二十二時の十五分前を示していた。

「あ……」

 どくんと大きく心臓が跳ねる。次いで、背中を冷たいものが伝っていった。

 もうこんな時間だったなんてまったく気づかなかった。まだまだ遊ぶ時間が残っているはずだと思っていたくらいだ。

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