世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 反射的にスマホをバッグの奥底へ押し込み、震える手を隠すようにこぶしを握り締める。

「……あ、いえ。なんでもありません。今日はたくさん歩いて疲れてしまったのかも。……そろそろホテルへ戻りませんか?」

 気にしたくないと思っても、勝手に視線がバッグへ向く。正確にはそこで時を刻み続けているスマホに。

「……もう、そんな時間だったのか」

 意外そうに、そして苦々しく蓮司さんがつぶやく。

「気をつけていたつもりだったが……悪い」

「どうして蓮司さんが謝るんですか……?」

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