世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
「紗代を返してほしければ、それだけの金を用意しろ。……彼女に釣り合うと思う金額でいい。それだけの価値しかないと思うなら、一円でだって売ってやる」

 私はそんなふうに、簡単にやり取りできる程度の存在なのかと胸が痛くなった。

 彼の腕の中で眠ってもいいと思えたからこそ、一円でも売るという発言が苦しい。

 あの旅行を経て、少しは彼と距離が縮まったのだと思っていた。

 だけど彼にとって私は、これまで接してきた人たちと同じくいつでも切り捨てられる存在でしかなかったのだ。

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