買われた花嫁
「じゃあ、あなたのご家族は……」

「俺ひとりだ。……今は君がいるか」

 触れるには繊細な部分だったと知り、頭が冷える。

 同時に、家族を聞かれて私を数に入れたことにどきりとした。

「あなたは私を家族だと思っているんですね」

「間違っているなら訂正しろ」

「……いえ」

 簡単に手放せる相手なのに?と喉まで出かかった言葉を呑み込む。

 車が信号で止まり、エンジン音が気まずい沈黙を搔き乱した。

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