世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 肩に触れるくらいの長さの髪は、きちんと巻いてきたはずなのに緩んでいる。午後にはそうなるのを知っているから、いつもハーフアップにまとめていた。

 黒に近い茶髪でもそれだけで華やかになるのを、ひそかに気に入っている。

「いつも言ってるでしょ。そんな大したものじゃないって」

「あはは。……で、誰がなにをするって?」

 私と同じく、若い女性に人気の香水ブランド『セレイン』で働く友人兼同僚の藤堂(とうどう)彩(あや)香(か)が『聞き間違いかな?』という顔で言う。

「だから、政略結婚」

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