買われた花嫁
私には値札がついている
 「私、政略結婚することになったんだよね」

 鳥のさえずりがかわいらしく響く昼下がり。頭上の広葉樹から差し込む木漏れ日の眩しさに目を細めながら、私――九(く)条(じょう)紗(さ)代(よ)――はカフェのテラス席でぽつりとこぼした。

 心地のいい一日だ。外でランチをするのに、今日ほどぴったりな日もない――。

「お、さすがお嬢様」

 からかうように言われて、苦い笑みを作りながら指先で耳もとの髪を軽く整えた。

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