世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 顔は笑っているのに、目が笑っていない。

 それに男も気づいたのか、気まずそうに愛想笑いをしたかと思うと、支離滅裂なことを言いながらそそくさとその場から逃げ去った。

 山城社長、と呼ばれていたが、初めて会う人だ。結婚前にも挨拶を交わしたことがない。

 突然のことですぐに頭が働かず対応が遅れた私に、山城社長は優しく微笑んだ。

「あのような下劣な中傷、気にされることはありませんよ、霧島さん」

 山城社長は、私に丁寧に頭を下げる。

「あ……すみません。ありがとうございました」

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