買われた花嫁
 その時一緒に使うためのマグカップは、蓮司さんが買ってきた。コーヒーであったり紅茶であったり、時にはココアであったりするけれど、ふたりで飲むとどれも甘く感じる。こそばゆい気持ちも甘酸っぱさと幸せを与えてくれて、一気に世界が色づいたのかと思うほど、なにもかもが輝いて映った。



 幸せを存分に味わっていたある週の半ば。仕事を終えて外に出ると、道路のほうでなにやらざわざわ騒がしい。

 もしかしたら以前そうしたように、蓮司さんが迎えに来てくれたのかもしれないと気持ちがふわっと軽くなった。

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