世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 逸る気持ちのまま急いでそちらへ向かうと、思いがけない人物がいた。

「久し振り、九条さん。いや、今は霧島さんか」

「朝倉さん……ですか?」

 彼は朝倉陽一さん。写真で見ただけの、五年前に親が決めた政略結婚の相手だ。

 写真の印象とあまり変わっていないから、名前と顔が一致する。

 ひと言で表すなら、〝優しげな男性〟か。

 整いすぎていないやわらかい輪郭の顔立ちで、自然に流れる癖があるらしい黒髪は眉にかかっている。

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