世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 なにげない会話の中で彩香の話をしたことを思い出す。

 次の瞬間には忘れてしまうような、他愛ない雑談の流れで出ただけの名前だったのに、彼はしっかり覚えていたようだ。

「そんな感じです」

「……そうか。寂しいが仕方がない」

 抱き寄せられて広い胸に顔を押しつけるよう、後頭部に手を添えられる。

 まさかこの人に抱き締められて安心する日が来るとは思わなかった。

「その代わり、今夜は君を独り占めさせてもらおう」

 甘いキスが落ちる直前、蓮司さんが目を細めた気がした。



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