世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 こんな人だと思わなかったという衝撃に浸っている余裕はなかった。

 うっ血しそうなくらいがちがちに留められたテープを、シートに擦り付けて剥がそうとする。ベルトを留める場所を使ってみたりと、手が赤くなるまで繰り返したけれど効果がない。

 そうしているうちに、窓から差す光が一層暗くなった。

 がたんとひと際大きく車が揺れ、私と一緒に車内へ放り込まれていたバッグの中身がこぼれ出る。

 その中にはスマホがあった。

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