世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 商品化されるかはまだ確定していないけれど、もしも販売されることが決まったら社割で購入するつもりだ。

 静寂の中で聞こえるのは、蓮司さんの規則的な鼓動と、私の吐息だけだった。

 彼の大きな手のひらが、私の背中をゆっくりと慈しむように撫でている。その手のひらの熱や、シャツ越しに伝わってくる硬い筋肉の質感。それらすべてが、ささくれ立っていた私の心を少しずつ凪へと導いていく。

「……いつもより甘えているな」

 頭上で響く、蓮司さんの低く心地よい声。

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