世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 ブライダルプロデュース会社の社長らしく気持ちのいい笑顔で、けれど瞳の奥にどす黒い執念を燃やして笑う桂さんを思い出し、ぞくりと震える。

 湿度の高い視線を思い出すだけで、指先が凍りつくように冷たくなった。

 でも、せっかくの蓮司さんとの時間に彼女の名前を出して空気を壊したくない。

 私が耐えればいい。彼を困らせたくない。

 その一心で私は振り返って彼に抱きつき、ぎゅっと目を閉じた。

「……紗代、顔を見せろ」

 不意に蓮司さんが私の肩を押し、覗き込むように顔を近づけてきた。

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