世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 彼女のこういう、微妙な空気を変えて明るい気持ちにさせてくれるところが好きだ。

「それがね、まったく知らない人ってわけでもなくて。……それなりに名前が通った人だから」

 自然と口もとに苦い笑みが浮かぶのがわかった。

 そう、私の夫となる人は――悪い意味での有名人なのである。



* * *



 なんの感情もわかないまま――というと少し語弊があるかもしれない。だけど喜怒哀楽のどの感情も抱けていないのはたしかだ。

 今日は一応、結婚当日なのに。

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