世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 震えるほど美しい男だとは思う。でも、そこに温かみは感じられない。

「お待たせしました。霧島さん」

 深呼吸をして気持ちを整え、彼の前に足を踏み出した。

 直接顔を合わせるのは初めてだけれど、写真や動画なら見たことがある。

 ――人の心を持たない冷酷な暴君。

 そんなふうに呼ばれるほど、彼は業界の有名人だ。主に私の実家である九条家が属するような、伝統をありがたがる上流階級で、だ。

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