世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 ラフなシャツにパンツスタイル。これから仕事へ行くことも、買い物に行くこともできそうなオールマイティーな姿だ。おそらくは頭のてっぺんからつま先まで、すべて高級品なのだろう。そう思わせるだけのものを漂わせているのが、統一感のある衣服ではなく彼本人であるのは間違いなかった。

 どくんと小さく心臓が音を立てる。

 無数の視線を浴びても微動だにせず、笑みのひとつも浮かべない冷え切ったあの男こそ、これから私が夫と呼ぶことになる霧(きり)島(しま)蓮(れん)司(じ)だ。

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