世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 百歩譲って、経営者として非情な手段を取らねばならない時もある……とフォローすることもできた。だけど彼は今日に至るまで、結婚する相手である私と直接やりとりをしようとさえしてくれなかった。

 礼儀だと考えて私が挨拶をしたいと、父を経由して伝えたのに、返ってきた答えはこうだ。

『君と違って暇じゃない。時間の無駄だ』

 仮にも妻にする相手と初めて会う瞬間を、この男は『無駄』と言ったのだ。しかもまるで、私が暇を持て余しているかのような余計なひと言まで付け加えて。

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