世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 私はエレベーターの隅に乗り、階層が書かれたパネルの前に立つ彼の背を見上げた。

 愛のない結婚。別にそれでかまわないと思っていたけれど、家でもこの調子なのだろうか。

 とはいえ、実家よりもずっといい。両親からぐちぐちと言われることもないし。好きなタイミングでお風呂に入ったり、食事をしたりしてもいいんだと思うだけで、自由を感じる。

 やっと〝家〟というものが私にとって肩の力を抜ける場所になりそうだ。

 同居人が蓮司さんなのに、と彩香あたりには驚かれそうだけれど。

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