世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 彼に命じられた部下は、罪悪感を背負わされることになるはずだ。『次は自分の番かもしれない』と思いながらも、きっと逃げられない。

 逃がしてくれるような人ではないと、先ほど聞いた極寒の声が雄弁に語っていた。

 呼吸ができなくなりそうな息苦しさを覚え、音を立てないよう自室に戻る。

 後ろ手にそっと扉を閉めてから自分の胸を押さえ、浅い呼吸を繰り返した。

 呑気に自由を謳歌しようと思っていたけれど、私は恐ろしい人の妻になってしまったんじゃないかという恐れが頭をよぎる。

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