星を拾う指先が、温かくなるまで
 空は蒼黒く。海は墨汁のように黒く染まる。
 少女は覚悟を決めたように、波打つ岩場に足を下ろした。
 
 岩場にはわずかながらの光を放ち、次第に炭のように黒く染まる不思議な石が落ちている。

 僕にはそれが何かわかるような気がした。「星が死んで、落ちてきたんだ」と。
 少女はその空の下、沢山の死に落ちた星を拾い集めている。

 死に落ちた星は、艶の無い木炭のような色をしていた。
 カサカサ。カサカサ。乾いた音がかすかに聞こえる。藁で出来たカゴに沢山入れると、少女は「一つ」つまみ息を吹きかけた。

 木炭のような死に落ちた星は、息を吹きかけると真から「ポワッ」と、光を灯す。
 それは一瞬。少女が「儚い」夢を吐かないように、僕には映った。

 真冬の刺すような寒さに、少女の指先は赤く、無数にあかぎれが痛々しい。
 掌の中で死に落ちた星が、炭の角を立てて彼女を傷つける。

 その痛みを、僕まで自分のことのように感じていた。
 僕はたまらず、彼女の耳元まで駆け寄り、声を張り上げてしまう。

「どうしたの? 何で、そんなものを拾い集めているの?」

 僕の必死な問いかけは、僕の「風の音」は、少女の耳に届かない。
 少女はふと何かに気づいたように、水平線の彼方を見つるめと、月輝く空なのに、浮き出るように雪が降り始めた。
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