甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
「左京さん、母からメッセージが来ました」
手紙を送った3日後。
桜子がスマートフォンを握りしめて、左京に声をかける。
「ほんとか? なんて?」
「左京さんと悠真に、会ってみたいと」
そうか!と左京は嬉しさに声を弾ませた。
だが桜子の表情は固い。
「桜子? やっぱり心配か?」
「……はい。だって、10年以上も会ってないし。それに私、15歳の時になにも言わずに家を出た母に対して、その……捨てられたって、思っていて」
声を震わせる桜子を、左京はそっと抱きしめた。
「桜子が辛いならやめよう。だけど桜子、抱えている気持ちはいつでも俺に吐き出して。悩みを打ち明けるとか、相談するとか、そんなんじゃなくていい。ただ思っていることを、そのまま口にしてくれればいいから。な?」
腕の中で、桜子は小さく頷く。
「私、私ね」
「ああ、なに?」
「本当はお母さんに言いたいの。どうして急にいなくなったの? 私やお姉ちゃんのこと、愛してなかったの? 優しく育ててもらったと思ってたけど、それも嘘だったの? って」
「そうか」
「だから少し怖いんです。私は悠真のこと、大切に大切に育てていく。だけど、ある日いきなり気持ちが変わったら? って。私もお母さんみたいに、悠真から離れても平気になるの? って。そんなふうに考える自分が怖くて……」
「そうか」
左京はただ優しく桜子の頭をなでて、抱き寄せた。
「辛かったな。15歳の時からずっとその気持ちを抱えて」
「うん。誰にも言えなくて……。お姉ちゃんにも、お父さんにも。そのうちに、自分の気持ちを押し殺すようになりました。考えないように、目をそらして。結婚も夢見てなかったし、子どもがほしいとも思わないようにしてました。でも左京さんと結婚して、心から幸せにしてもらって。悠真が生まれて来てくれて、本当に愛おしくて。だからますますお母さんの気持ちが信じられなくなったんです。桜子、大好きよって言ってくれた言葉も、嘘だったんだ。私は……愛されていなかったんだなって」
涙をこらえて小さく身体を震わせる桜子を、左京はギュッと抱きしめる。
「桜子、聞いて。俺はなにがあっても桜子のそばにいる。不安な時はいつだって抱きしめる。桜子の胸が溢れるくらい、たくさんの愛を注ぎ続ける。絶対に嘘はつかない。信じてくれと言葉では言わない。桜子が自然と俺を信じられるよう、俺は心から桜子と向き合って桜子を包み込む。だから桜子、安心していい」
「左京さん……」
桜子は大粒の涙を溢れさせた。
「ずっと一人でよくがんばったな。もう大丈夫だ。これからは俺がいる」
「うん。ありがとう、左京さん」
桜子の胸に温かい幸せが広がり、満ち溢れる。
大丈夫、なにがあっても。
自然とそう思えた。
「左京さん」
「ん?」
「私、母に会います。愛する左京さんと悠真を、胸を張って紹介したいから」
「……桜子」
左京はもう一度桜子を抱き寄せる。
「ああ、俺もお義母さんに誓うよ。桜子と悠真を、必ず幸せにしてみせますと」
「はい。ありがとうございます、左京さん」
そして桜子は、母にメッセージを送った。
手紙を送った3日後。
桜子がスマートフォンを握りしめて、左京に声をかける。
「ほんとか? なんて?」
「左京さんと悠真に、会ってみたいと」
そうか!と左京は嬉しさに声を弾ませた。
だが桜子の表情は固い。
「桜子? やっぱり心配か?」
「……はい。だって、10年以上も会ってないし。それに私、15歳の時になにも言わずに家を出た母に対して、その……捨てられたって、思っていて」
声を震わせる桜子を、左京はそっと抱きしめた。
「桜子が辛いならやめよう。だけど桜子、抱えている気持ちはいつでも俺に吐き出して。悩みを打ち明けるとか、相談するとか、そんなんじゃなくていい。ただ思っていることを、そのまま口にしてくれればいいから。な?」
腕の中で、桜子は小さく頷く。
「私、私ね」
「ああ、なに?」
「本当はお母さんに言いたいの。どうして急にいなくなったの? 私やお姉ちゃんのこと、愛してなかったの? 優しく育ててもらったと思ってたけど、それも嘘だったの? って」
「そうか」
「だから少し怖いんです。私は悠真のこと、大切に大切に育てていく。だけど、ある日いきなり気持ちが変わったら? って。私もお母さんみたいに、悠真から離れても平気になるの? って。そんなふうに考える自分が怖くて……」
「そうか」
左京はただ優しく桜子の頭をなでて、抱き寄せた。
「辛かったな。15歳の時からずっとその気持ちを抱えて」
「うん。誰にも言えなくて……。お姉ちゃんにも、お父さんにも。そのうちに、自分の気持ちを押し殺すようになりました。考えないように、目をそらして。結婚も夢見てなかったし、子どもがほしいとも思わないようにしてました。でも左京さんと結婚して、心から幸せにしてもらって。悠真が生まれて来てくれて、本当に愛おしくて。だからますますお母さんの気持ちが信じられなくなったんです。桜子、大好きよって言ってくれた言葉も、嘘だったんだ。私は……愛されていなかったんだなって」
涙をこらえて小さく身体を震わせる桜子を、左京はギュッと抱きしめる。
「桜子、聞いて。俺はなにがあっても桜子のそばにいる。不安な時はいつだって抱きしめる。桜子の胸が溢れるくらい、たくさんの愛を注ぎ続ける。絶対に嘘はつかない。信じてくれと言葉では言わない。桜子が自然と俺を信じられるよう、俺は心から桜子と向き合って桜子を包み込む。だから桜子、安心していい」
「左京さん……」
桜子は大粒の涙を溢れさせた。
「ずっと一人でよくがんばったな。もう大丈夫だ。これからは俺がいる」
「うん。ありがとう、左京さん」
桜子の胸に温かい幸せが広がり、満ち溢れる。
大丈夫、なにがあっても。
自然とそう思えた。
「左京さん」
「ん?」
「私、母に会います。愛する左京さんと悠真を、胸を張って紹介したいから」
「……桜子」
左京はもう一度桜子を抱き寄せる。
「ああ、俺もお義母さんに誓うよ。桜子と悠真を、必ず幸せにしてみせますと」
「はい。ありがとうございます、左京さん」
そして桜子は、母にメッセージを送った。