甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
パーティー
「おはようございます! 常務」
「おはよう」

月曜になり、マンションまで迎えに来た戸部は、今日も元気に挨拶する。

(そういえば戸部も26歳だから、彼女と同い年か)

そんなことを考えながら、左京は車の前で桜子に向き直った。

「行ってきます」
「行ってらっしゃいませ、左京さん」

キリッとした表情で小さく頷き、戸部が開いた後部ドアから車に乗り込む。

パタンとドアが閉まり、何気なく窓の外に目を向けた左京は、楽しそうに桜子に話しかけている戸部の姿にハッとした。

(あいつめ……)

中からドアをガチャッと開けて車を降りると、戸部も桜子も驚いたように左京を振り返る。

「どうされました? 常務」
「いいか、戸部。今後『これから帰る』の連絡は私がする。戸部は一切しなくて良い。分かったか?」
「は、はあ……」
「早く行くぞ、戸部」
「はい!」

戸部が慌てて運転席に回ると、左京はもう一度桜子に声をかけた。

「それでは行ってくる」
「はい。どうぞお気をつけて」

にこやかな笑顔を向けられ、ようやく左京は車に戻り、今度こそ出発した。
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