甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
◇
その日の夜。
いつものように寝付きの早い桜子を、左京はベッドの上で片肘をつきながら見つめていた。
(可愛らしいな)
あどけない寝顔に、思わず頬が緩む。
(けど、ドレス姿は本当に美しかった)
いつもそばにいた桜子がまるで知らない人のように感じるほど、今夜の桜子はキラキラとまぶしく輝いて見えた。
左京は自分の左手をじっと見下ろす。
パーティーで肩を抱き寄せた時の、桜子のなめらかな素肌の感触を思い出した。
そしてウエストを抱いた時の、ほっそりと艶めかしいボディラインも。
(いけない。俺はなにを考えている?)
触れなければ、まだ平気だった。
一緒に暮らしていても、ルームメイトのようなものだと思い込んでいた。
だが一度触れてしまったら……
頭ではなく、心と身体に焼き付いてしまった。
桜子は、魅力的な女性だと。
(だめだ。思い出せ、彼女と結婚した経緯を)
愛しているから、ではない。
いわば契約を交わすように、互いの価値観や結婚に対する利点を確認して、今に至った。
今後夫婦としての在り方や、どういう関係を築くかは想定していなかった。
ただ婚姻届を出すことが、ゴールであったから。
桜子が望めば、子どもをつくることも考えよう。
それについて話し合おうとは思っていた。
だがもし、桜子が望まなければ?
夫婦関係はいらない。
ずっとこのままでいいと考えていたら……
(それなら俺は、諦めるしかない。これ以上の彼女との関係を)
そう考えた途端、心の中に暗い影が射し込んだ気がした。
すぐ手の届くところにいる桜子。
愛おしいその頬に触れることも許されないのだ。
夫婦なのに。
夫婦だから。
(俺はなんと浅はかなことを……)
頭で割り切って結婚したことを、左京は今になって激しく後悔していた。
その日の夜。
いつものように寝付きの早い桜子を、左京はベッドの上で片肘をつきながら見つめていた。
(可愛らしいな)
あどけない寝顔に、思わず頬が緩む。
(けど、ドレス姿は本当に美しかった)
いつもそばにいた桜子がまるで知らない人のように感じるほど、今夜の桜子はキラキラとまぶしく輝いて見えた。
左京は自分の左手をじっと見下ろす。
パーティーで肩を抱き寄せた時の、桜子のなめらかな素肌の感触を思い出した。
そしてウエストを抱いた時の、ほっそりと艶めかしいボディラインも。
(いけない。俺はなにを考えている?)
触れなければ、まだ平気だった。
一緒に暮らしていても、ルームメイトのようなものだと思い込んでいた。
だが一度触れてしまったら……
頭ではなく、心と身体に焼き付いてしまった。
桜子は、魅力的な女性だと。
(だめだ。思い出せ、彼女と結婚した経緯を)
愛しているから、ではない。
いわば契約を交わすように、互いの価値観や結婚に対する利点を確認して、今に至った。
今後夫婦としての在り方や、どういう関係を築くかは想定していなかった。
ただ婚姻届を出すことが、ゴールであったから。
桜子が望めば、子どもをつくることも考えよう。
それについて話し合おうとは思っていた。
だがもし、桜子が望まなければ?
夫婦関係はいらない。
ずっとこのままでいいと考えていたら……
(それなら俺は、諦めるしかない。これ以上の彼女との関係を)
そう考えた途端、心の中に暗い影が射し込んだ気がした。
すぐ手の届くところにいる桜子。
愛おしいその頬に触れることも許されないのだ。
夫婦なのに。
夫婦だから。
(俺はなんと浅はかなことを……)
頭で割り切って結婚したことを、左京は今になって激しく後悔していた。