甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
(これって、普通なのか? 世間一般の家庭も、こんなふうなのか?)
女性と同棲したこともなく、もちろん結婚も初めてで、なにが普通なのかよく分からない。
(世の女性はみんなこうなのだろうか。それとも彼女が料亭の娘で、きちんと育てられたからか?)
何人かの女性とつき合ったことはあるが、自分の部屋に上げたことはなく、身の回りのことをしてもらった覚えはない。
やはりここまでしてくれるのは普通ではない気がした。
(結婚と恋愛は違うとは思っていたが、こうまでとはな)
頭では理解して結婚を決めたはずだったが、どうにも調子が狂う。
もちろん不平不満ではなく、そんなにしてくれなくてもいいのにという、いわば戸惑い。
あとは、そう。
接し方と距離感だ。
(妻である彼女には、恋人のように接してはいけないのだろうか。未だになんと呼べばいいのか分からない)
君、とこれまでは呼んでいたが、結婚後は名前で呼ぼうと思っていた。
だが、さん付けがいいのか、呼び捨てがいいのかと悩んでいるうちに3か月経ってしまい、ますます呼ぶのに身構えてしまう。
そしてなによりの悩みは……
夫婦の営みどころか、キス1つ交わしていないことだった。
桜がきれいに咲いた4月初旬に挙げた結婚式は和装の神前式だった為、誓いのキスも指輪の交換もなし。
結婚初夜から、桜子は左京が寝室に入ったあとにあれこれと新居の荷物を整え始め、ようやくそっとベッドに入ってきたかと思うと数秒後にスーッと寝息が聞こえてきた。
(毎晩毎晩、見事なくらいの寝付きの良さ。1分以上かかったことはないだろう)
寝付きの悪い左京は、キングサイズベッドの端っこでスヤスヤ眠る桜子を、時にうらやましく眺めていた。
そんな状況で、甘い雰囲気になることは一切なく、ただ清く正しく美しい毎日が過ぎていく。
(彼女に不満などはなにもない。むしろここまで尽くしてくれて感謝している)
願わくば、なんと呼べばいいのかを教えてほしい。
それから子づくりに関しても。
おそらく儀式のようになるのだろうが、心して臨む次第である。
左京は真剣にそう考えていた。
女性と同棲したこともなく、もちろん結婚も初めてで、なにが普通なのかよく分からない。
(世の女性はみんなこうなのだろうか。それとも彼女が料亭の娘で、きちんと育てられたからか?)
何人かの女性とつき合ったことはあるが、自分の部屋に上げたことはなく、身の回りのことをしてもらった覚えはない。
やはりここまでしてくれるのは普通ではない気がした。
(結婚と恋愛は違うとは思っていたが、こうまでとはな)
頭では理解して結婚を決めたはずだったが、どうにも調子が狂う。
もちろん不平不満ではなく、そんなにしてくれなくてもいいのにという、いわば戸惑い。
あとは、そう。
接し方と距離感だ。
(妻である彼女には、恋人のように接してはいけないのだろうか。未だになんと呼べばいいのか分からない)
君、とこれまでは呼んでいたが、結婚後は名前で呼ぼうと思っていた。
だが、さん付けがいいのか、呼び捨てがいいのかと悩んでいるうちに3か月経ってしまい、ますます呼ぶのに身構えてしまう。
そしてなによりの悩みは……
夫婦の営みどころか、キス1つ交わしていないことだった。
桜がきれいに咲いた4月初旬に挙げた結婚式は和装の神前式だった為、誓いのキスも指輪の交換もなし。
結婚初夜から、桜子は左京が寝室に入ったあとにあれこれと新居の荷物を整え始め、ようやくそっとベッドに入ってきたかと思うと数秒後にスーッと寝息が聞こえてきた。
(毎晩毎晩、見事なくらいの寝付きの良さ。1分以上かかったことはないだろう)
寝付きの悪い左京は、キングサイズベッドの端っこでスヤスヤ眠る桜子を、時にうらやましく眺めていた。
そんな状況で、甘い雰囲気になることは一切なく、ただ清く正しく美しい毎日が過ぎていく。
(彼女に不満などはなにもない。むしろここまで尽くしてくれて感謝している)
願わくば、なんと呼べばいいのかを教えてほしい。
それから子づくりに関しても。
おそらく儀式のようになるのだろうが、心して臨む次第である。
左京は真剣にそう考えていた。