甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
いとこの誕生
年が明け、新年が始まった。

「明けましておめでとう」
「おめでとうございます」

左京の父がグラスを掲げ、皆で乾杯する。

今日は『しらゆき』に集まり、おせち料理を囲んで新年をお祝いしていた。
もう1つ、桜子の妊娠も。

「いやー、めでたい。もう嬉しくて嬉しくて。去年桜子ちゃんがお嫁に来てくれて最高の一年だったと思っていたら、今年は赤ちゃんが来てくれるなんて! 正月だけど盆も一緒にやって来たな」

左京の父は破願してグイグイお酒を飲む。
男性陣がお酒を酌み交わす横で、桜子は紅葉や桃香と一緒にジュースで乾杯した。

「お姉ちゃんと一緒に妊娠なんて、すごく心強い」
「私も嬉しい。桜子、心配なことがあったらなんでも聞いて。うちはお母さんがいないから色々不安だと思うけど、産後は私も少しはお手伝い出来ると思うから」
「ありがとう。お姉ちゃんもその頃は赤ちゃんがいるんだから、無理しないでね」

それにしても、と桜子は思う。

「お姉ちゃん、桃ちゃんの時は妊娠も出産も心細かったでしょう? 私、今ようやく気づいたの。ごめんね、なにも力になれなくて」
「ううん、そんなことない。いつも桜子やお父さんが近くにいてくれて安心だったし、産後も上げ膳据え膳で楽させてもらったよ。それに清志も支えてくれたし」
「そうね。清志さん、本当にお姉ちゃんのこと大事にしてるもんね」
「それは左京さんもでしょ?」

うん!と桜子は笑顔で頷いた。

「もうほんと、桜子は左京さんと結婚してから、みるみるきれいになって笑顔も増えて。聞かなくても分かるよ、すっごく幸せなのが。桜子、お母さんがうちを出て行ったり、私が大失恋で婚約破棄したから、恋愛にも結婚にも冷めてたでしょう? 夢も希望もない、みたいな感じで。左京さんとのお見合いも、半ばやけっぱちなんじゃないかなって、ちょっと心配だったんだ」

桜子は思わず苦笑いする。

「ああ、まあ、あの時はね」
「だけど左京さんは、桜子の運命の相手だったんだね。お見合いした時から、二人は結ばれる運命だったんだよ、きっと」
「うん、今なら私もそう思える。左京さんに出逢えて本当に良かった。私の人生、モノクロからカラーに変わった気がする」
「ふふっ、それも4Kの鮮やかさでね」
「そうかも。昭和初期から令和にひとっ飛び」

そう言って二人で顔を見合わせて笑った。
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