舞台の中心で花咲く蕾
 これからの話をある程度決め、皆が事務所から居なくなったのは辺りが暗くなってからだった。あれこれ話している内にもう共演したくないと言い合っていた二人は意気投合し、ライブでやってみたいことや歌いたい曲などを楽しそうに話していた。

 もちろん今回全く関係ない私への謝罪もあった。今はまだ仕事以外の話が簡単に出来ないくらいの溝が深まってしまった二人だけど、いつか必ずいつも通りのCiElとして表舞台に立つと約束して。


 そして――。

「大阪って言ったらやっぱりお好み焼きとたこ焼きとか食べたいですよね?」

「何言ってんの? まずは蟹でしょ?」

「七海ちゃんは?」

「ゲームセンターで遊び散らかす」

 武道館ライブだけでは物足りないとファンからの意見に事務所が大阪と福岡も追加し、これからしばらくはファンと会えないから精一杯喜ばして来いと送り出された。
 リハーサルなども含めて早めに目的地に着いては本番まで観光している。活動休止へ向けて少しずつ仕事の量を調節しているため、ゆっくりできる時間がいつもより多いのだ。

 まぁ、リハーサルした日は疲れてすぐにホテルに帰っちゃうんだけど。

「またですか? じゃあ提案者に奢ってもらうってのはどうです?」

「じゃあ蟹一択。食べまくるよ陽葵! ついでに滝宮さん」

 私か滝宮さんが間に入ると普通に話す二人は、何処からどう見ても前と変わらない様子に見える。

「え? 僕までいいの? ありがとう望月」

 こんな感じで楽しんで、ライブして。一つ、また一つと終わっていくライブに寂しさもあるけど、二度と会えない訳でもなさそう。

 これは女の勘だ。

「ちょ! そこは半分出してよ滝宮っち」
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