舞台の中心で花咲く蕾
 活動休止が世間に発表される十五日前、私たちはやっと仕事の合間を見つけ話し合いをすることになった。

「話は大体聞いている。ただな、武道館ライブの予定が入っていただろう? 資金の問題ではなく、あれを楽しみにしているファンは数え切れない。それは分かるな?」

 社長は会社の損失ではなく、ファンの為にもカメラの前やステージの上ではいつものCiElでパフォーマンスをしてほしいと言ってきた。
 澪も陽葵も最初は嫌な顔をしたけど『ファンの為』という言葉を聞いて渋々頷き了承する。

 私は最初から賛成だったし、こちらとは目すら合わせない二人に任せることに。

「現在の報道。あれは否定できる部分が少ない。だからこそ解散という手段を使ってしまえば世間に一生後ろ指を指されてしまう。だから活動休止という選択をするが、それと同時に君たちの人気は確実に減る。実際今もファンクラブから退会している者もいるくらいだ。それでもいいかな?」

 現時点で二人は事務所を辞めるつもりはなく、澪は歌手として陽葵は女優として今後は活動して行く事まで決めていたみたいで、いつの間にか一人取り残された私はこれからのことを何も考えていなかった。


 ――というより、考えることができなかったのだ。

 三人で活動できないなら解散を受け入れると口では言ったけど、精神的には無理だった。事務所から解散ではなく、一旦活動を休止するという提案をしてもらった時には正直言ってほっとした。

 これはマネージャーが頑張ってくれた結果であり、これから先ずっと口を利かないかもしれないし、すぐに仲直りをして活動を再開するかもしれない。それにファンと巻き込まれただけの私のことを考えてほしいと。

 そう言って彼女たちをずっと説得していたらしい。
 だから今回は解散ではなく活動休止という案を受け入れてほしいと頭を下げてくださった。
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