消えたくなったら星(スター)になれ
2.身バレの危機?!
「ねーねー。桐生、今日の放課後カラオケ行こうよ~」
「カラオケじゃなくて、映画観に行かない?」
教室に入るなり、桐生は女子たちに囲まれている。
桐生はクラスの女子たちいわく「アイドルよりもイケメン」などといわれている。
わたしからすれば、ふーんそうなんだという感じ。
なにせ小学二年生のころから、桐生に絡まれてるからね……。
わたしは席につくなり、イヤフォンをした。
スマホで礼地エンドのチャンネルを開き、昨夜の配信動画を流す。
途端に教室の喧騒が消え、エンドさまのイケボで満たされる。
ああ……生きてるって感じするなあ。
お昼休み、教室を出ようとしたとき。
近くで、「おー、かわいい」と男子数名が騒いでいる。
「これが小珠ちゃんの伝説の初配信かあ」
ひとりの男子の声に、わたしはぴたりと立ち止まった。
いま、小珠っていったよね。
ちらりと見えたスマホの画面には、見慣れたキャラクターが映っている。
黒いボブヘア―に大きな猫耳のついた美少女は、画面の中で尻尾を揺らしていた。
振袖を改造したような衣装は、夜空を思わせる黒地に青の帯。
彼女は黒音小珠。
今、人気急上昇のVtuberだ。
わたしは心の中でガッツポーズをして、騒ぐ男子の隣を足早に通り過ぎた。
学校も嫌なことばかりじゃないな。
『はじめまして。カラフル所属のVtuber、黒音小珠にゃん♪』
スマホの画面に映る黒音小珠が、ウィンクをして右手をあげる。
だけど、心なしかその動作はもっさりとしていた。
大量に流れてくるコメントには、【かわいいが過ぎる】【天使天使天使】という内容が多い。
『小珠、今日からカラフル所属のVtuberだからドキドキするにゃん』
小珠はそういうと、ぎこちなく笑う。
その笑顔に【かわいい】【天使】【守りたいこの笑顔】というコメントで溢れる。
しかし、こんなコメントが流れてくる。
【なんかさっきから、動きが不自然なのはなんだ?】
すると、途端に【おれも思ってた】【わたしも気になってた】というコメントで埋まっていく。
小珠は、『う』と小さくうめいてからいう。
『実は……初配信、緊張しちゃって、それで……』
コメント欄が【どうした?】【がんばれ!】【なにかあったの?】と優しい言葉で溢れていく。
『初配信、緊張しまくりで、お布団から出られなくてぇ……』
【まさか】【おいおい嘘だろ……】
『そのまさか……。お布団から初配信してるの……ここだと落ち着くから』
【ガチで布団の中かよwwww】【伝説の配信キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!】
黒音小珠は、初配信で緊張しまくったあげく、布団の中から配信をしたのだ。
しかし、そのあと小珠はリスナーに励まされて一度だけ布団から出た。
それはダンスをしたから。
彼女はのダンスはとにかくキレッキレ。
踊るたびに袖が揺れ、星の飾りの帯どめが跳ねる。
その完璧なダンスに、観るものすべてを魅了した。
しかし、ダンスの動きといっしょに聞こえる小珠の声。
『つら』『人生つら』『生まれながらの人生ハードモード』
そんな小珠の魂の叫びが聞こえていた。
こうして、闇のJC猫Vtuberが爆誕したのであった。
「わたし、そんなにダンスの最中につぶやいてるかなあ」
屋上でおにぎり片手にスマホを凝視。
観ているのは、黒音小珠の初配信だ。
さっき男子たちが騒いでいたので、観返してみたけど……。
「やっぱ自分の初配信動画って恥ずかしいなあ」
屋上には誰もいないことは確認した。
だからわたしは、めいっぱい地声で身バレを気にせずしゃべれる。
そう、わたしは黒音小珠の中の人。
デビューから半年経って、人気Vtuberになりつつあるんだ。
「あーあ、中学やめてVtuberの活動に専念したいよ~!」
「中学やめるって……親が許さないだろ」
「そうなんだよね……。『せめて中学くらいは卒業して』ってお父さんもお母さんも……え?」
わたしは違和感に気づいた。
いま、だれかと会話が成立してた?
辺りをきょろきょろしても、誰もいない。
気のせい? 幻聴? ぼっちのせいで?
「それとも幽霊かな。こわ」
「そりゃまたイケメンな幽霊だな」
そういうと、目の前に人が降りてきた。
にやりと笑っているのは、桐生。
「なんでここに……? ってゆーか、誰もいないと思ってたのに……」
「あの上で昼寝すると気持ちいいんだよ」
桐生はそういうと、屋上のドアの上の突き出た部分を指さす。
「あんな高いところ……猫じゃないんだから」
「猫は星谷だろ」
バレてるううううう!
「カラオケじゃなくて、映画観に行かない?」
教室に入るなり、桐生は女子たちに囲まれている。
桐生はクラスの女子たちいわく「アイドルよりもイケメン」などといわれている。
わたしからすれば、ふーんそうなんだという感じ。
なにせ小学二年生のころから、桐生に絡まれてるからね……。
わたしは席につくなり、イヤフォンをした。
スマホで礼地エンドのチャンネルを開き、昨夜の配信動画を流す。
途端に教室の喧騒が消え、エンドさまのイケボで満たされる。
ああ……生きてるって感じするなあ。
お昼休み、教室を出ようとしたとき。
近くで、「おー、かわいい」と男子数名が騒いでいる。
「これが小珠ちゃんの伝説の初配信かあ」
ひとりの男子の声に、わたしはぴたりと立ち止まった。
いま、小珠っていったよね。
ちらりと見えたスマホの画面には、見慣れたキャラクターが映っている。
黒いボブヘア―に大きな猫耳のついた美少女は、画面の中で尻尾を揺らしていた。
振袖を改造したような衣装は、夜空を思わせる黒地に青の帯。
彼女は黒音小珠。
今、人気急上昇のVtuberだ。
わたしは心の中でガッツポーズをして、騒ぐ男子の隣を足早に通り過ぎた。
学校も嫌なことばかりじゃないな。
『はじめまして。カラフル所属のVtuber、黒音小珠にゃん♪』
スマホの画面に映る黒音小珠が、ウィンクをして右手をあげる。
だけど、心なしかその動作はもっさりとしていた。
大量に流れてくるコメントには、【かわいいが過ぎる】【天使天使天使】という内容が多い。
『小珠、今日からカラフル所属のVtuberだからドキドキするにゃん』
小珠はそういうと、ぎこちなく笑う。
その笑顔に【かわいい】【天使】【守りたいこの笑顔】というコメントで溢れる。
しかし、こんなコメントが流れてくる。
【なんかさっきから、動きが不自然なのはなんだ?】
すると、途端に【おれも思ってた】【わたしも気になってた】というコメントで埋まっていく。
小珠は、『う』と小さくうめいてからいう。
『実は……初配信、緊張しちゃって、それで……』
コメント欄が【どうした?】【がんばれ!】【なにかあったの?】と優しい言葉で溢れていく。
『初配信、緊張しまくりで、お布団から出られなくてぇ……』
【まさか】【おいおい嘘だろ……】
『そのまさか……。お布団から初配信してるの……ここだと落ち着くから』
【ガチで布団の中かよwwww】【伝説の配信キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!】
黒音小珠は、初配信で緊張しまくったあげく、布団の中から配信をしたのだ。
しかし、そのあと小珠はリスナーに励まされて一度だけ布団から出た。
それはダンスをしたから。
彼女はのダンスはとにかくキレッキレ。
踊るたびに袖が揺れ、星の飾りの帯どめが跳ねる。
その完璧なダンスに、観るものすべてを魅了した。
しかし、ダンスの動きといっしょに聞こえる小珠の声。
『つら』『人生つら』『生まれながらの人生ハードモード』
そんな小珠の魂の叫びが聞こえていた。
こうして、闇のJC猫Vtuberが爆誕したのであった。
「わたし、そんなにダンスの最中につぶやいてるかなあ」
屋上でおにぎり片手にスマホを凝視。
観ているのは、黒音小珠の初配信だ。
さっき男子たちが騒いでいたので、観返してみたけど……。
「やっぱ自分の初配信動画って恥ずかしいなあ」
屋上には誰もいないことは確認した。
だからわたしは、めいっぱい地声で身バレを気にせずしゃべれる。
そう、わたしは黒音小珠の中の人。
デビューから半年経って、人気Vtuberになりつつあるんだ。
「あーあ、中学やめてVtuberの活動に専念したいよ~!」
「中学やめるって……親が許さないだろ」
「そうなんだよね……。『せめて中学くらいは卒業して』ってお父さんもお母さんも……え?」
わたしは違和感に気づいた。
いま、だれかと会話が成立してた?
辺りをきょろきょろしても、誰もいない。
気のせい? 幻聴? ぼっちのせいで?
「それとも幽霊かな。こわ」
「そりゃまたイケメンな幽霊だな」
そういうと、目の前に人が降りてきた。
にやりと笑っているのは、桐生。
「なんでここに……? ってゆーか、誰もいないと思ってたのに……」
「あの上で昼寝すると気持ちいいんだよ」
桐生はそういうと、屋上のドアの上の突き出た部分を指さす。
「あんな高いところ……猫じゃないんだから」
「猫は星谷だろ」
バレてるううううう!

