オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ
第一章
1話:夏祭りの日
満開に咲く花火を背に、必死に走り続けていた。
着慣れないワンピースが足に纏わりついて、走りづらい。
「……違う、絶対に、違う」
不安に揺れ続ける心を、なんとか誤魔化す。
どれだけ息が切れても、横腹が痛んでも、足は止まろうとしなかった。
「翼。無事でいて……」
角を曲がった先で、赤い光がちかちかと瞬いていた。
近づけば近づくほど、大好きな景色が真っ赤に塗り替えられていくようで、身体が震える。
見慣れているはずの防波堤は、いつもとすっかり表情が違っていた。
いつもなら、人影なんてほとんどない場所。
静かで、落ち着く場所だったはずなのに……。
点滅する赤いランプを取り囲むように集まる大勢の後ろ姿に、私の足はやっと止まった。
「……っ」
肩で息をしながら、その先を必死に見つめる。
「汐莉、速いよ……!」
「何があったんだ……?」
追いかけてきていた美咲と健太が、私の後ろで足を止めたけれど、振り返る余裕なんてなかった。
ここまでずっと走ってきたくせに、震えてこれ以上前には進んでくれない足。
ただ、必死の思いで人だかりの先を見つめると、ほんの一瞬だけ人が避けて、地面に置かれたものが見えた。
その瞬間に、私の体は凍りつく。
側面が砂で汚れたスニーカー。
左右の長さが揃っていない不恰好な結び目に、息が止まった。
着慣れないワンピースが足に纏わりついて、走りづらい。
「……違う、絶対に、違う」
不安に揺れ続ける心を、なんとか誤魔化す。
どれだけ息が切れても、横腹が痛んでも、足は止まろうとしなかった。
「翼。無事でいて……」
角を曲がった先で、赤い光がちかちかと瞬いていた。
近づけば近づくほど、大好きな景色が真っ赤に塗り替えられていくようで、身体が震える。
見慣れているはずの防波堤は、いつもとすっかり表情が違っていた。
いつもなら、人影なんてほとんどない場所。
静かで、落ち着く場所だったはずなのに……。
点滅する赤いランプを取り囲むように集まる大勢の後ろ姿に、私の足はやっと止まった。
「……っ」
肩で息をしながら、その先を必死に見つめる。
「汐莉、速いよ……!」
「何があったんだ……?」
追いかけてきていた美咲と健太が、私の後ろで足を止めたけれど、振り返る余裕なんてなかった。
ここまでずっと走ってきたくせに、震えてこれ以上前には進んでくれない足。
ただ、必死の思いで人だかりの先を見つめると、ほんの一瞬だけ人が避けて、地面に置かれたものが見えた。
その瞬間に、私の体は凍りつく。
側面が砂で汚れたスニーカー。
左右の長さが揃っていない不恰好な結び目に、息が止まった。