アラフォーバツイチ、花ざかり。

 桜の蕾が膨らみ始めた三月上旬の今日。外観も内装もこだわった、まさに〝こんな家に住みたい〟という人々の憧れを具現化したようなモデルハウスに、夢を抱いた家族連れが訪れている。

 建築アドバイザーの私、内海(うつみ)真琴(まこと)は、見学会に来た彼らを案内しながらいろいろな相談にも乗っているところだ。

 今日は予約の必要がない一般公開の日なので、お客様は次々にやってくる。地域密着型の工務店『さちいろハウス』は社員数がとても少なく、もうひとりのアドバイザーと建築士、現場監督も総出で対応している。

 私はくびれたミディアムヘアを耳にかけ、オフィスカジュアルなパンツスタイルで、新たにやってきた新婚夫婦を家の中へ案内する。

 私たちが建てたこのモデルハウスは、外観も内装も北欧風のナチュラルテイストで統一していてとても可愛い。白い壁に自然素材の無垢の床は温もりがあり、家全体が明るく落ち着いた雰囲気に仕上がっている。

 吹き抜けの明るいリビングも素敵で、ここが自分の家だったらもっと観葉植物を置きたいな……なんて想像しながら、間取りや材質の説明をして若いご夫婦の反応を窺う。

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