アラフォーバツイチ、花ざかり。
 おそらく二十代前半の若奥様は、温かい日が差し込んでくる高窓を見上げて目をきらきらさせている。

「こういう家、素敵~! 私やっぱり吹き抜けにしたい」
「いやいや、冷暖房効きづらいんじゃないの? 絶対電気代かかるし」

 同じく目線を上げて見回す旦那様は三十代前半といったところだろうか、理性的で慎重そうな方だ。

「でもすごい開放感あるじゃん。なによりおしゃれ」
「見た目より機能性が大事だろ」
「なによー!」

 むうっと頬を膨らませる愛らしい奥様と言い合いが始まるが、これは珍しいことではない。マイホームづくりは人生の一大イベントであるがゆえに、お互いの意見が衝突してしまうものだから。

 遠慮なく言い合うふたりをむしろ微笑ましく見守りつつ、自然なタイミングで仲裁に入る。

「室温の問題でしたら、壁や屋根、床下に性能が高い断熱材を入れればかなり改善できます。この家にもありますが、シーリングファンをつけるのもおすすめですよ。空気を掻き混ぜて温度のムラを防いでくれるので、冷暖房も効率よく効きます」
「ほーら、問題ないじゃない」
「それもまた金かかるって。それに、デメリットはまだあるだろ。ねえ、内海さん」

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