アラフォーバツイチ、花ざかり。
 もう少し考えを巡らせてみると、遠い昔のひとコマがふと蘇ってきた。あの瞬間をインテリアの一部にして家に落とし込むとしたら、どう表現すればいいのか。

「……あ」

 網坂さんのアドバイスをきっかけに目の前が開けたような感覚を覚え、心が踊り始める。形に囚われなくてもいいのだと思うと、次々とアイデアが湧いてくる。

 すぐにそれを描きたくなって、私はすっと腰を上げた。

「ありがとう、なんかわかってきたかも!」
「それはなにより」

 網坂さんは穏やかな表情で缶を口に運ぶ。

 だんだん人となりがわかってきた彼に、私はバッグを肩にかけて微笑みかける。

「私も少し誤解してた。網坂さんって意地悪だけど、根は温情があっていい人ね」

 本心を伝えると、一瞬動きを止めた彼も柔らかに口元を緩める。

「……君は本当にまっすぐだな」

 ひとり言のようにそう呟き、彼も腰を上げた。そしてテーブルに片手をつき、アラフォーとは思えない綺麗な顔を近づけて私を覗き込んでくる。

「そんなに簡単に男を信じていいのか?」
「へ?」

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