アラフォーバツイチ、花ざかり。
「君はすごく素直で、律儀な人なんだな。なんでも言い返してくるから、プライド高めというか勝ち気な性格なのかと思ってた。まあそれも楽しいから、俺もついいじめたくなるんだけど」

 やっぱり天性のSだ、と納得したのもつかの間、網坂さんはスマホを私に返しながら話を本題に戻す。

「その実直さが出ている作品だと思う。王道の大正ロマンっていう感じだから、もっと遊び心を入れてもいいかもしれない」
「やっぱりそっか……。たとえば?」

 今日参加してみて、自分のアイデアが凝り固まっていることには気づいたけれど、その〝遊び心〟をどう取り入れるかが難しい。

 私の質問に、網坂さんは涼しげな顔で答える。

「テーマのノスタルジーを表現するのは、部屋の雰囲気だけじゃないだろ。内海さんはどんな時に懐かしさを感じる?」

「え? っと……実家に帰った時、とか」

「そう。アルバムを見た時とか、母親の料理を食べた時とか、なんでもいい。君なりにその瞬間を感じるアイテムや場所をこの家にも取り入れたら、さらに思いが伝わるんじゃないか」

 私のノスタルジーを感じる瞬間、か……。

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