アラフォーバツイチ、花ざかり。
 予想外の近さに、顔にはあまり出ていないが網坂さんも驚いているだろう。立ち尽くしている彼に、ビールを持ってきたヤンさんがそれをドンとテーブルに置いて、私の向かいの椅子を指差す。

「知り合いならアナタここ座ってネ! どんどん人来るカラネ!」
「……はい」

 ヤンさんの勢いに網坂さんは思わず従順に返事をして、言われた通り私の向かいに腰を下ろした。

 奇しくも一緒に食事をすることになり、とりあえず一緒にメニューを選ぶ。テーブルが小さいので、またしても距離が近くて妙な気分。

「おすすめは?」
「なんでも美味しいんだけど、やっぱり四川風麻婆豆腐かな」
「俺、辛いの苦手」
「すみませーん、四川風マーボーひとつください」

 彼の言葉を無視して頼む私に、じとっとした目線が突き刺さる。

「……嫌がらせ?」
「私が食べるの。あ、エビチリも美味しいよ。そんなに辛くないから」

 いつもの仕返しだと言うようにふふんと笑ってみせると、彼が珍しくむっとむくれた。形勢逆転するの楽しい。

 辛いものが苦手なのも意外で可愛いな、なんて思いながら、いくつか単品料理を頼んでビールで乾杯した。

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