アラフォーバツイチ、花ざかり。
 そうして、今日もよくやったと自分を褒めてベッドに入るまでがルーティンなのだが……ここ数日、これにとある日課が加わった。

 お風呂に入っている時にも、ベッドに入って眠りに落ちるまでの間も、彼のことを考えてしまうのだ。

『真琴はいい女だよ。少なくとも俺はそう思う』

 閉じた瞼の裏に透也の麗しい微笑みと、頭を撫でられる感覚が蘇ってきて、私はベッドの中で悶えて寝返りを打つ。

 も~いつも意地悪なくせに、なんで急に甘くなるのよ!?  全に女性漫画のヒーローじゃないか。

 若い子たちにけなされた後で、あの甘さは余計にいけない……。熟した果実を乾いた口に含んだ瞬間みたいに、とびきり極上に感じて忘れられない。

 あの頭ぽんぽんの後、動揺しまくって心ここにあらずだった私は、ふいに『家は?』と聞かれて我に返った。いつの間にか橋を渡りきっていて、分かれ道に差しかかっていた。

『あ……私、ここを曲がるの。透也はまっすぐだよね? ここで大丈夫だから』
『いいよ、家まで送る。DVD貸してもらいたいし』

 そういえばその約束をしたんだった、とほんの少し複雑な気分になったのは秘密だ。家まで送ってくれるという紳士的な気遣いが嬉しい反面、これ以上一緒にいたら意識していることがバレてしまいそうで、早くひとりになりたい気持ちもあったから。

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