アラフォーバツイチ、花ざかり。
 抵抗も虚しく、百七十センチ後半の逞しい身体に抱きしめられ、無駄に情熱的な声に囚われてしまった。

「「えぇぇー!?」」

 星野ちゃんと小須田さんの驚愕の声が響き渡る。たぶん、少しのことでは動じない茂木くんも驚いているだろう。

 この男……三十七歳になるというのに、すぐに抱きしめてくる癖は変わらないのね。これに何度ほだされたか……じゃなくて、アラフォーのふたりが公衆の面前でハグする光景はきついって!

「やめて、今日来たのは仕事の一環なんだから! そうでなくても、普通の大人の男はこんなところで抱きつかないのよ」
「わかってるよ。でも嬉しくて」

 ぐぬぬ、と力を入れて胸を押し返す私に、樹は甘く切なげに微笑みかけた。

 ああ……捨てられてもまだ飼い主を求める子犬のような、母性本能をくすぐってくるこの感じ、呆れを通り越して懐かしさを覚えるわ。

 なんとか解放されて深く息を吐いた途端、女性陣が私の両側にくっつき、茂木くんが背後にやってきて取り囲まれる。

「なになになに、どういう関係!?」
「内海さん、彼氏いたんですか!?」
「やりますね」

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