深夜2時。君のとなりで ――世界中が知っている彼を、私だけが知らなかった
彼は不意に、くすくすと子供のように笑い声を漏らした。
それは、『蒼』として在る彼ならば、決して見せない、崩れた笑い。
「かわいいですね、その返事は」
「何がですか。……一生逃がさないなんて言われて、なんて返せば正解なのか、分からないですよ」
「『好きです』と言えばいいんです」
「……それは、まだ、言いにくいです。恥ずかしいし、負けた気がするので」
「じゃあ、お仕置きですね」
「えっ?」
九条の顔が、再び近づく。
「逃げても無駄だと言いましたよね」
「それは……さっき言った……っ」
額に。
柔らかい唇が触れる。
「奏翔、さん……」
うなじに。
「待って……」
「恥ずかしいと言う人には、もっと恥ずかしいことをしますよ」
鎖骨のくぼみに、吸い付くような熱。
「かなで、さん……」
「はい」
「……好き、です」
九条の動きが止まり、ちらりと柚子の様子を伺う。
「もう一度」
「も、言いました!」
「お仕置き、続けます」
「……だ、大好きです」
九条は、満足そうに微笑んだ。
「ありがとうございます、柚子さん。俺も、死ぬまで貴女を愛します」
部屋にはまだ、粗削りなデモ音源が流れていた。
3コーラス目の、メロディ。
朝の光に満たされた部屋の中で、柚子は九条の腕に抱かれながら、無意識に旋律をなぞりながら。
――ああ、やっぱり。この曲、好きだな、と。
それは、『蒼』として在る彼ならば、決して見せない、崩れた笑い。
「かわいいですね、その返事は」
「何がですか。……一生逃がさないなんて言われて、なんて返せば正解なのか、分からないですよ」
「『好きです』と言えばいいんです」
「……それは、まだ、言いにくいです。恥ずかしいし、負けた気がするので」
「じゃあ、お仕置きですね」
「えっ?」
九条の顔が、再び近づく。
「逃げても無駄だと言いましたよね」
「それは……さっき言った……っ」
額に。
柔らかい唇が触れる。
「奏翔、さん……」
うなじに。
「待って……」
「恥ずかしいと言う人には、もっと恥ずかしいことをしますよ」
鎖骨のくぼみに、吸い付くような熱。
「かなで、さん……」
「はい」
「……好き、です」
九条の動きが止まり、ちらりと柚子の様子を伺う。
「もう一度」
「も、言いました!」
「お仕置き、続けます」
「……だ、大好きです」
九条は、満足そうに微笑んだ。
「ありがとうございます、柚子さん。俺も、死ぬまで貴女を愛します」
部屋にはまだ、粗削りなデモ音源が流れていた。
3コーラス目の、メロディ。
朝の光に満たされた部屋の中で、柚子は九条の腕に抱かれながら、無意識に旋律をなぞりながら。
――ああ、やっぱり。この曲、好きだな、と。