One year left -家族ごっこ-
話に夢中になっていると、車はあっという間に大きなスーパーの駐車場に到着した。


広めの白線スペースに、斗真さんが車を滞りなく止める。


にぎやかな店内をまわり、網焼き用の厚切り肉やフランクフルト、焼きそばの麺に大袋のスナック菓子など、バーベキューに必要な食材をカートいっぱいに放り込んだ。


重たいジュースも一通り買い出してトランクに積み込み、今度は斗真さんの家の庭へと直行する。



車を降りると、夕紗が手際よくお肉のパックをクーラーボックスへ収めていく。


私もそれに倣(なら)いながら、一緒に簡易テーブルやイスを並べ始めた。


「ちなみに希歩って、まだ碧くんのこと好きなの?」


夕紗を手伝いながら聞いてみる。


「いや、それ以前にラインすら返ってこないらしいし、もう諦めてるでしょ」


夕紗が困ったように苦笑いする。


「そっか」


結局、碧くんはラインを返さなかったんだ……。


「萩花は合月くんとどうなの?」


「どうって?」


「仲良くやってる?」


一瞬、これまでのことが頭を駆け巡る。


私は小さく頷いた。


「おととい家族で動物園に行ったんだけど、クレーンゲームでフラミンゴのぬいぐるみ取ってくれたよ」


「頼んだの?」


「ううん。フラミンゴが可愛いって言っただけ」


「優しいな!」


夕紗が声を弾ませる。


でも、本当はそれだけじゃない。


私のためにお茶を買ってきてくれた。


夜桜の公園に連れて行ってくれた。


ダンスのことをお母さんに打ち明ける時も、一緒になって考えてくれた。


それから、蓮巳さんにラブホに連れて行かれそうになった時だって……。


心配して、わざわざ後をつけてまで助けてくれた。


改めて思い返してみると、碧くんは本当に優しい。


でも、いつからこんなに優しくなったんだっけ……?
< 173 / 354 >

この作品をシェア

pagetop