One year left -家族ごっこ-
「ちょっと、何ぼーっとしてるの?」


夕紗の声に、私はハッと我にかえる。


「あ、ごめん。考え事……」


「合月くんのこと?」


「うん」


夕紗に話を聞いてほしくて、つい口を開きかけた、その時だった。


「お待たせー!」


開いた門扉から、希歩を先頭に、凛と岳くん、悠生くんが自転車を押して庭に入ってきた。


「おつー!」


夕紗が希歩たちのほうへ顔を向ける。


それぞれ自転車を庭の端に停めると、四人がこちらに歩いてきた。


ツーブロックの髪型が岳くんで、明るい茶髪のほうが悠生くんだ。


サイゼリヤの時はあんなに気楽に話していた二人なのに、今はどこかガチガチに体が強張っている。


視線の先には、バーベキューコンロの前に立っている斗真さんがいた。


年上で厳(いか)つい見た目の斗真さんを前にして、男子高校生二人はすっかり萎縮してしまっているみたいだ。


そんな中、歩いてきた悠生くんと不意に目が合う。


「久しぶりっす」


緊張を隠すように小さく頭を下げられた。


「久しぶりだね」


私は笑顔を返して、そっと手を振った。
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