One year left -家族ごっこ-
「ほら、いつまでお喋りしてるの。早く帰りなさい!」


先生に声をかけられ、私たちは弾かれたように動き出す。


私は逃げるようにして、重いスクールバッグを肩にかけ、出入り口へと向かった。


一歩、外に足を踏み出す。


夜の九時半。


外は完全に暗闇に包まれていた。


ぎらぎらとした昼の熱気だけがアスファルトにしみつき、重苦しく肌にまとわりつく。


スタジオの入り口に据えられた、白く人工的な街灯の光。


その鋭い光の中に、碧くんが立っていた。


シルバーの髪が白く透けている。


ただ壁に背を預けて突っ立っているだけなのに、息を呑むほどの存在感。


……碧くんの告白をちゃんと断ったはずなのに。


どうして、そんな綺麗な顔で待っているの。


私は背後からついてくる三人に「じゃあね」と小さく手を振って別れた。


後ろで夕紗たちが何かを囁き、くすくすと笑う気配がしたけれど、もう振り返る余裕はなかった。
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