One year left -家族ごっこ-
「もう来ないでって、言ってるでしょ」


呆れを含んだ声を向け、碧くんを見上げる。


「なんで?俺はあんたのダンスを見てるだけだけど」


「だから、それがみんなに誤解されちゃってるの。彼氏だって」


「周りが勝手に言ってるだけだろ。俺には関係ない」


彼は涼しい顔で、駐輪場まで歩いて行く。


「それにお母さんたちだって、いつも私たちが一緒に帰ってきてたら変に思うでしょ?」


「親父があんたの帰りを心配して、俺に迎えに行けって言ってるから大丈夫」


「……そうなの?」


はぁ、と低い息遣いが唇の隙間から漏れた。


もう諦めたからいいのだけれど。


本当は、良くないけれど。


だけど碧くんに何を言っても無駄だということは、この数ヶ月で痛いほど知っている。


彼は私の自転車のサドルに長い脚を回してまたがると、ハンドルを握ったまま、顎で荷台をさした。


「乗りなよ」


逆らう気力も湧かない。


ゆっくりと近づき、後ろに座った。
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