One year left -家族ごっこ-
「碧(あお)くんは背も高いし、萩花(しゅうか)よりお兄ちゃんに見えるわね」


お母さんが、嬉しそうに碧くんと私を交互に見比べる。


新しい生活が始まることへの喜びが隠せないような、お母さんの弾んだ声が心地よく響いていた。


その笑顔を見て、緊張が少しだけ緩んでいく。


「いやいや、雰囲気は萩花ちゃんのほうが落ち着いてて、お姉さんっぽいよ」


すかさずおじさんが、包み込むような柔らかな声を差し込んできた。


「そんなことないです」


そう言って、お行儀よく頭を下げた瞬間、横から低い声が割り込んできた。


「童顔」


箸を持ったまま、碧くんが冷めた声で、淡々と言い放つ。


ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。


気にしていることを、初対面の、しかも年下の男の子に正面から突きつけられて、私の笑顔がわずかに硬直する。


けれどお母さんの手前、お祝いの席を壊したくなくて、一生懸命に表情を取り繕いながら、なんとか優しい愛想笑いを浮かべた。
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