One year left -家族ごっこ-
お母さんに尽くすこと、お母さんの笑顔を守ること、幸せを見届けること、そして最後には彼女の前から消えること。


それが、お母さんからお父さんを奪ってしまった私の、唯一の償いだと思っていた。


でも。


私のこの身体は、あの日、お父さんが自らの命と引き換えにして、盾になって守ってくれたものだ。


もしお父さんが今もどこかで私を見ているとしたら。


お母さんへの罪悪感だけで心を縛って生きる娘の姿を、お父さんは望んでいるのだろうか。


“この短い命の中で、萩花はどんな火花を散らす?”


碧くんの問いかけが、胸を激しくひりつかせる。


お父さんが命を懸けて繋いでくれたこの命を、自分のために、私が私として命の火花を散らしながら生きていくこと。


それこそが、本当の、本当の償いなんじゃないか。


そんな考えが、頑なだった心の中に、小さな、けれど確かな光のように広がり始めていた。


だけど、その光は一瞬で、どす黒い闇に塗りつぶされる。


記憶の底から、あの凍てついた声が、冷酷な重圧を伴って蘇ってきた。
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