One year left -家族ごっこ-
その時、衣服の擦れる乾いた音がした。


ハッとして、私は隣に視線を向ける。


碧くんが、着ていたTシャツを無造作に脱ぎ捨てるところだった。


吸い込んだ空気が喉の途中で止まったように、私は一瞬だけ息の仕方を忘れてしまう。


強い太陽光の下に晒された、彼の上半身。


Tシャツに隠されていたのは、想像以上にがっしりとした、男の肉体だった。


広く平らな胸板。


陽の光を浴びて、硬い筋肉の美しい陰影が、皮膚の表面に生々しく浮き上がっている。


衣服越しに感じていた硬い筋肉の凹凸。


いまは遮るものなく、あからさまな質感をもって目の前に剥き出しになっていた。


あまりにも男を感じさせるその身体を前に、心臓が、今まで経験したことがないほどに激しく、ドクンと跳ね上がる。
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