One year left -家族ごっこ-
「萩花がスクールに来た時、めっちゃセンスあると思ったよ。体幹強すぎるし、アイソレのキレやばいしさ。独学って聞いて、相当ダンス好きなんだなって」


「うん、好き……」


まだ小さかった頃、お父さんが私の踊りを見て、「上手だね」って褒めてくれたあの時から、ずっと。


だから私にとってダンスは、唯一の“救い”だった。


……けれど、私が救われようとするなんて。


そんな勝手な逃げ場、許されるはずがなかった。


「お義父さんの言う通り、やめなよ。バイト」


夕紗が真剣な目を向けて言葉を続ける。


「もう十分、萩花はお母さんを支えたでしょ。お金のこともだし、家事も手伝ってさ。それなのに勉強だって頑張ってるし、こんな自慢な娘いないって」


「そんなことない……」


膝の上で、ぐっと拳を握りしめた。


自慢の娘なんかじゃない。


どんなにお母さんに尽くしても、私が犯した罪の穴埋めには、これっぽっちも足りていないのに。
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